レビュー:速読速聴・英単語 Daily1500 ver.3(Z会 松本茂)



Z会の速読速聴・英単語シリーズ、一応レベル設定としてはBasicに続く下から2番目の位置づけである、Daily 1500です。

■速読速聴・英単語の特徴

まずシリーズ全体の特徴としては、まとまった英文の中に学習すべき見出し語がすべて織り込まれている、という点。
単語の羅列と短い例文という構成では無く、ひとつながりの英文(長文というには短い場合もあるので)に入っているため、文脈で覚えられるというメリットがあります。
オビには「一石五鳥」 と書かれていますが、曰く、

・速読
・速聴解
・単語
・熟語
・背景知識(シリーズによっては時事知識)

がいっぺんに身につくと。
要するに、単語だけじゃ無くていろいろ使い方もできるし英語の総合力が上がりますよ、ということです。
お得、というか、しっかり取り組めばそれなりの実力が付きますよ、というのがこのシリーズですね。

■単語集と思って手に取ると違和感

しかし逆に言えば欲張っているので、「単語集だ! 語彙を増やすぜ!」と思って取り組むとちょっと違うかもしれないと思う点もあります。

1.単語の羅列より時間がかかる
2.英文を読んでも文法などで引っかかるとつまずく
3.CDの音声は割と速めでレベルは高い

英文を読まなければいけない分、当然、単語の羅列よりは時間がかかり効率が悪いです、少なくとも一周目は。
単語集をみて、 1発ですべてマスターできる人はいないと思いますので、普通は何回か復習しますよね。
そういうところまで踏まえて、トータルで定着率を考えればむしろ効率は良いのではないかと思いますが、最初の1周はがんばる必要があります。

また、単語を学習したいのに、文法やリスニングでつまずくという可能性もあります。
とにかく単語だけを増やしたい、という場合には、ちょっとマイナスですね。
文法の解説はありませんので。

スピードの関しては、スマホではスピードを遅くして再生できるアプリ(NHKの語学プレイヤーなど)がありますので、これを利用すると良いと思います。

■トータルに英語力を伸ばすには最高

先にマイナスな面を指摘しましたが、教材としての出来やボリューム感など、はっきり言って最高です。
リーディングの練習、リスニングの練習、シャドウイングやディクテーションなど、様々な学習に利用できます。
音声はレベル設定に対してやや早めに感じますが、発音はきれいで、シャドウイングの模範にするにも適しているかなと思います。

また、基本的に英文の内容もそこそこ面白く感じるものが多いので、繰り返しのリスニングにもたえますね。
(たまに苦手なのもあるけど・・・)

■まとめ:どんな人に向いている?

●レベル感としてはTOEIC700点前後?
一応、出版社の設定では「TOEICスコア500~700を目指す人」 となっていますが、500を目指すということは400点台ですよね。ちょっと難しすぎると思います。
僕は、レベル相応の教材を使う方が効率が良いと考えているので、そのくらいならもっと優しいものを選んだ方が良いと思います。

ちなみに今、本書を学習中の僕は900点程度です。
知らない単語は2~3%程度という感覚ですが、曖昧な単語を定着させて瞬発力を鍛える意味もあり、ここからスタートしています。

●やる気のある人
見返りを得るには努力が必要です。
このシリーズは確実に良い教材ですが、手っ取り早さはありません。

●文法・リーディング・リスニングに対して、語彙が貧弱だと感じる人
はい、僕です。
文法は分かる、リーディング・リスニングもそこそこできるが、語彙が足りずにつっかかるところがある、そういう場合には向いています。
今あるスキルの復習をしながら、語彙を増やせますので。

とにかくこの値段でこのボリュームはすごいです。
ぜひ手に取ってみてください。


コメント